「恥ずかしいところをお見せしてすいませんね」。ひとりの老人から丁寧な日本語で声をかけられた。韓国で検査機器をつくる会社を経営し、その売り込みのために丹東に行くのだという。「この船に乗っているのは、ほとんど運び屋なんです。彼らは本当に花札が好きで……見苦しいです。朝鮮族?そう、半分は中国籍の朝鮮族、あとは韓国人です……。昔ほど儲からなくなったと皆、いいます。運び屋の儲けが花札で消えちゃうこともあるんですから。
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困った人たちです」僕らが乗り込んだエコノミークラスは、大部屋の雑魚寝スタイルだった。たしかにそこかしこに花札の輪ができあがり、札が並ぶ座布団の上には千ウォン札が無造作に置かれていた。運び屋は昔から賭博好きが多かった。当たれば大儲けする運び屋稼業も博打といえなくもなかった。そんな堅気とは違う人々を、その老人は朝鮮族の恥というのだった。「そろそろ着きますよ」前方を見ると、クレーンと煙突が見えてきた。そこが丹東の港のようだった。