女優演出方として、この時代、既に女っぷりを上げるための手法を花魁は心得ていたのだ。花魁の女っぷりを上げる照明術は、男性でも女性でも毎日の生活のなかで大変役に立つ手法だ。「ライトを持ち運んで、自分を照らす」わけではないので、ご安心を。毎朝、身支度をするときに役立つ照明術をご紹介しよう。わたしが講演会などで、「女性の大半が外出先で鏡をのぞき込み、『しまった!こんなメークをしてきてしまった、と驚いた覚えがあるはず』と話すと、決まってうんうんと大きくうなずく女性陣の姿が目立つ。一般家庭の多くの洗面所には、洗面台の上部に蛍光灯が一つだけついているケースが多い。上からの強い光は、目、鼻、アゴの下などに不要な影を作る。そのため、知らず知らずメークを厚塗りしてしまうので、外の鏡に映った自分の姿に愕然とするのだ。これは、男性の場合も同様。顔の影でヒゲのそり残しがあったり、伸びた鼻毛にも気づかないことだってあるのだ。第一、顔色も正確にチェックできないので、健康状態を確かめにくいというデメリットもある。そこで、役に立つのが花魁の照明術。一方向からだけではなく、多方向からの光は女っぷりを上げるという話を書いたが、実は正確に顔をチェックするときにも、大いに役立つ照明なのだ。例えば、番組や舞台の楽屋によくある「楽屋鏡」。電球がピッシリとついている鏡をイメージする人も多いだろう。タイプはいろいろあるが、決まって上下左右とあらゆる方向から顔に光を当てて、不要な影を消す工夫がされている。メークを正確に美しく仕上げ、すぐに人前に出るためには、この光は必需品なのだ。自宅の洗面所にも、「楽屋鏡」を再現することができる。洗面台のスペースが広ければ、小さなスタンドを置いて下からライトアップ。スペースがなければ、クリップライトを棚につけて、斜め下や横から光をプラスする。洗面所のスペースや形によっても光の具合が変わってくるので、影ができない位置に照明をプラスしよう。洗面所に毎日この照明器具が置いてあるのが邪魔なら、大事な面談や商談、同窓会などの、大切な日の準備でこの照明術を使えば、負担も軽い。「正確に顔をチェックできる」照明は、すぐに人前に出られるというメリットもあるが、実は精神面にも大きな影響を及ぼす。例えば残業中に会社の洗面所の鏡に映った自分の顔を見てガッカリした覚えはないだろうか。脂でギラギラし、クマも目立つ、イケていない自分を見て、余計に疲れがドッと出た……という経験を持つ人も多いだろう。上や下、どちらかの光が強すぎるうえ、青白い蛍光灯を使っている洗面所ではこういう目にあいがちだ。洗面所の照明は、顔を正確にチェックできることも必要だが、ガッカリさせないことも大切だ。リフレッシュして「また頑張ろう!」とやる気を起こさせる光であってほしいもの。そのためにも、?肌の色がキレイに見える電球色の蛍光灯にする、?上だけではなく下や横から顔の影を消す光を投げかける。このちょっとしたことでの「思いやり照明」が、社員のパワーの源になるのだ。洗面所は、外に飛び出す前の大切な戦闘準備室。銃を磨き、弾をつめて万全な状態で戦地に赴かなければ、やられてしまう。花魁の照明術を採り入れた洗面所で、ぜひ男っぷり、女っぷりを上げてほしいものだ。