私には肌づくりにおいて、一歩たりとも譲れない理論があったのです。「粒子の大きな六つの色で点のように描く」。これはパリの美術館でフランスの後期印象派の画家、ジョルジュ・スーラの点描人物画と出会い、たどり着いた究極の理論。絵の肌の美しさに惹かれ、美しく見える理由を分析して導き出しかものです。でも、この理論を、業界の常識にとらわれている研究者たちに理解し、納得してもらうのは困難を極めました。どう説明しても納得してもらえない。「こういうファンデーションでなければダメなんです」と伝えても、返ってくるのは業界の理論を並べ立てた反論ばかり。今にすれば、どこの馬の骨ともわからない人間が、常識とはまったくかけ離れたファッデーションづくりをしてくれと言うわけですから、素直に聞いてもらえなかったのも当然と思います。