ここまでは、全身の代謝の話です。部分やせが難しいのは、有酸素運動によって、脇腹のたるんだ部分の脂肪だけを燃焼させることができないからです。お腹の脂肪を取るために腹筋運動を行う人は多いのですが、確かに筋肉が厚くなって腹腔内からの圧力への抵抗力が強くなるためにお腹が引っ込んだようには見えても、部分的な脂肪代謝という意味ではなかなか満足がいかないものです。それは、体にたくわえられた脂肪は、その近くの筋肉専用に使われるわけではなく、あくまでも全身のエネルギー備蓄としてはたらいているからです。「なんだ、それでは部分的に二酸化炭素を供給することで血液循環と酸素供給を改善しても、無駄じゃないの?」そう思われるかもしれません。ところが、私たちの体が使っているエネルギーというのは、なにも運動だけによって消費されているわけではありません。私たちの体内には、60兆もの細胞があるといわれています。その数がどれだけ多いのかは、普通の人間には理解できません。それほどたくさんの細胞が全体で、「自分」というひとつの生命を維持しているわけです。その60兆個もの細胞は、それぞれ個々に、常に自分の生命を維持しようとしています。それぞれの細胞のなかには、進化の過程で動物の細胞内に入り込んだといわれるミトコンドリアがあります。このミトコンドリアこそ、酸素を利用して脂肪からエネルギーをつくりだす有酸素系のエネルギー代謝の主役なのです。個々の細胞は、常に自分たちの存在を維持するために、また全身レベルでの生命を健康に保つために、エネルギー生産をして活動しています。それはたとえ私たちが寝ているときでさえ続いています。カその証拠に、いかに安静にしていても、私たちは呼吸を止めることができません。それは、たとえ寝ていても、体内では有酸素系のエネルギー代謝を止めることができないからです。このような、運動以外の生命保持のための基本的なエネルギー代謝のことを「基礎代謝」といいますが、この基礎代謝において、個々の細胞は常に最低限の酸素供給を必要としているわけです。
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